2010年1月13日 (水)
【28】校舎
20期生 白井 純平さん
高速道路のドライブで山が見えるたび、給水塔が見えた気がする…ちょっと言いすぎたかもしれない。あの給水塔は今でも僕にとってのシンボルだ。あの給水塔を目指す坂道を毎日歩き、帰りには坂道の駐輪所で自転車を探した。給水塔を目指しながら上ると右手に大教室の巨大窓がある。あの窓の裏では応援部ステージ、吉村作治先生の講演会や卒業式イベントの打ち合わせなどがあった。少し給水塔を目指して坂道を登ると大教室が思い出を見せてくれる。ちょっと思い出せば鮮明にあの校舎の姿が思い浮かぶ。
私は早稲田大学本庄高等学院20期卒業の白井純平です。現在早稲田大学大学院で建築学を専攻しています(2010年1月現在)。私は建築が大好きです。建築の設計計画でユーザーの何かが変われると信じています。これは今の僕の大きな支えです。その根源に早稲田大学本庄高等学院が大きく関係していると思っています。 せっかくなので少し校舎に関して書かせて頂きます。
早稲田大学本庄高等学院は元早稲田大学教授の穂積信夫氏が設計し、現早稲田大学教授の古谷誠章氏が当時設計担当していた建築です。コンセプトはわかりやすく言うとモン・サン・ミッシェルのような建築デザインです(ちょっと大げさかもしれませんね…笑)。大きな山からの恩恵を受けるように設計され、大地の特性を生かせるような設計計画です。山の美しい四季が校舎の一部(もしくは教室が自然の一部?)になるように配置されています。学生は自然光で黒板を見ることができ、教師が自然を見ながら教育できるイキイキとした学校はそう多くありません。
もちろんこの弊害はいくらかあります。まず自然の中にあるため交通の便が悪い。次に中庭が大きくとられているが雨に濡れて教室移動を余儀なくされることがある。さらに自然の中にありますから教師の目が届かないこともあります。しかしこれもまた逆に言えば、自転車通学が基本であるため健康体になり、完全空調などの人口環境でないので心身ともに強くなれ、自然に自発的行動力を得ることになります。1年目は1年の経験、2年目は2年の経験、3年目は3年の経験、そして先生方は何年にも渡る「早稲田大学本庄高等学院経験値」があります。僕は3年以上経験した本庄高等学院卒業生を魅力的に感じています。私は自発的行動力をもつことが早稲田大学本庄高等学院の最大の特徴だと思っています。
この記事を読んだ人は次に早稲田大学本庄高等学院に訪れる機会があればB塔の教室へ行ってみてください。
校舎に到着
広がる中庭から教室に至るまでに、さまざまな自然光を体験
中庭の強い光を感じ、半地下の暗闇の廊下を右手に歩く
薄暗い階段室(外)へ至り
自ら暗闇の中に足を進める
すると明るい二階テラスに到着し、一息
二階の廊下室は暗闇
この廊下は学院内ではかなり暗い場所(給水塔の中や脱衣室も)
教室へ入る
そして飛び込んでくる大パノラマ
教室は自然の光で先生の黒板を…これ以上は記す必要はないですね。
このような早稲田大学本庄高等学院を3年間通い続けました。通学が面倒くさいときもありましたが、嫌ではありませんでした。自然環境、校舎環境、そしてそのマリア-ジュ。私には、経験値3年頃にみられる逞しさと輝きがこういう背景とまったくの無関係だとは思えません。
ああ、経験は財産なんだなあ。
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