2010年11月17日 (水)
【45】「本庄早稲田の杜 まちびらき」に参加して
11期生 佐藤 順哉さん
9月29日付の1期岡崎さんのエッセーで10月24日(日)に「本庄早稲田の杜 まちびらき」があることを知った。その日は仕事もなくせっかくの機会であるので久しぶりに母校と愛する本庄市を訪ねるべく、家族を連れて関越を走らせて本庄へ行ってきた。
事前にネットで調べて行ったがいまいちこのお祭りの主旨が理解できないまま会場に行った。式典が行われ、本庄市長、衆議院議員、国土交通省員などのご挨拶があった。要するに、南はさいたまスーパーアリーナをはじめとする旧大宮市、旧与野市を主とするさいたま市が埼玉県の玄関になっているが、県北には玄関がない状態であるため、本庄早稲田駅及び、本庄早稲田駅周辺の開発を切っ掛けとして「県北の玄関の表札」をかける式典、との説明があった。なるほどである。
地域、県、県を超えた地方レベル、またもしくは全国規模での観光客や企業誘致がこの「まちびらき」を切っ掛けに早稲田と共に飛躍し成功することを心より祈っている。
ところで、なぜここまで本庄の将来を祈るぐらい本庄が好きかというと、私は高校生当時の忘れられない思い出がある。シカゴから帰国し、結構なギャップに当初は正直驚いたが、入学後、数週間しかたたないまだ本庄ライフの日が浅いころ、法事で練馬の叔母の家にいき、帰りに時間が遅くなり20時ごろだったと思うが本庄駅からホームスティ高仁(上里町)まで自転車をこいでいたら、突然、春の嵐というか土砂降りに遭った。傘もなく全身ずぶ濡れになり、しかも道にまだ不慣れであったため途中で完全に迷ってしまった。ホームスティの電話番号ももっていない。104で載っているだろうと油断していたが嵐の中、公衆電話で104を回したが読みは完全に甘かった。
1時間以上自転車で彷徨った後、自動車修理工場の軒下で雨宿りしながら叔母に夕飯のためにもらったおこわのお握りをほおばりながら暗い空を見上げていると、中に灯りがつき人が出てきた。「どうしたん?こんな時間に」とここの社長であろう寡黙でまじめそうなオヤジさんだ。暖かく乾いたきれいな白いタオルを貸してくれ僕が髪をふきながら事情を話した。事情を分かってくれた社長は、東京から来たばかりで道を知らない兄ちゃんがこんな暗い中にいるのはあまりに心配だ、と言いだした。ホームスティ高仁の住所も分からないため、僕が早大本庄生であること、ホームスティ高仁というところに住みだしたこと、うろ覚えであるが隣にパン屋があり確か清月堂という名前であるということを告げた。どうやら最後の清月堂が決め手だったらしい。自宅兼工場の奥にいき、奥さんと話して、あちこちに電話してくれてしばらくして出てきた。清月堂を電話帳で調べて電話したが時間が遅く閉店しているらしい、だがその近くの知り合いに電話したら確かにパン屋の隣には早稲田の寮がある、ということらしい。鞄の中まで浸水してびしょ濡れのサイドリーダーの「Happy Prince」の裏表紙に地図を書いてもらおうとすると、社長は僕の自転車を黙ってかついで軽トラの荷台にやさしく丁寧に乗せてくれた。
助手席でひたすら恐縮する僕を優しい目でみながら黙って暗い大雨の道をハンドルを握って随分と走ってくれた。灯りがつく仲間が待つホームスティ高仁が見えた時は本当にホッとした。一緒に降ろすのを手伝ってくれ、名前を尋ねても無言で走り去った。後日なんとかお礼を言いたくて、駅から何度も自動車修理工場に着く様に自転車であの日の彷徨い方を再現してみたがどうしてもわからないまま卒業してしまった。
僕はその一件以来、本庄が好きになった。カメラを購入し本庄の四季をよく撮影した。同じクラスでホームスティの隣人だった西巻を誘いよく自転車で神保原や児玉町の方まで行ったりした。地元が好きだった。スタジオDUO、喫茶フロントページも音楽や仲間とのお茶も好きだったが地元民であるマスターとのふれあいをみんな楽しんでいた。
今回のまちびらきのお祭りでも、屋台で「つみっこ」という本庄名物のすいとんの様な汁物を買い、僕ら家族と同じテーブルでたまたま相席になった地元の市会議員とお見受けするご年配の方が自分達で食べている茄子のお漬物を分けてくれた。遠慮していると「遠慮してもここに置いてあるし」と優しい目で言うのでむしろ遠慮せずに頂戴したらとても嬉しそうな顔をしていらっしゃった。妻も子供もとても感動していた。
新幹線と高速道路両方に恵まれたあの好立地、そして街の発展に理解のある地権者の方達、それに早稲田が加わればあの共同プロジェクトはきっと成功すると思う。
今後街は変われど暖かい人は変わって欲しくないと願う次第である。
写真は本庄市のHPより拝借。
たまたま家族で写っておりびっくり!!
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