2011年6月 8日 (水)
【52】α選抜について
15期生 町川 高明さん
「早稲田大学本庄高等学院」(以下、本学)の入試制度の一つ「α選抜」について語りたいと思います。
私はこの制度を通じて入学した者の一人なのですが、私の体験が本学を志望する方々に少しでも参考になれば良いなと思います。
それは溯ること中学3年の秋、父親の誘いで「慶應義塾湘南藤沢中・高等部」の文化祭を見学に行ったことがキッカケでした。
自宅から電車に揺られて3時間近くもかけて湘南藤沢キャンパスに行ったことを覚えています。今にして思えば、何故はるばる他校の文化祭を見に行くことになったのだろうかと疑問に思いますが、私の受験を意識してのことではなく、父親の仕事関係だったと思います。
ところで、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は慶応義塾のなかでも広大な土地を有した拠点の一つで、
教育面でも非常に先進的な取り組みをしているところです。当時の私にはそういった難しいことは知る由もありませんが、恵まれた自然環境の中に近代的な校舎が配置され、一般的な高校とは違った趣を感じたことは確かです。
幾つかの発表を観たのですが、同世代にもかかわらず自分とは比べ物にならない佇まいを醸し出していて、喋り方からして非常に知的な印象を受けました。ある種のカルチャーショックだったと思います。
郊外の公立学校で育った私にしてみれば、「こんな世界もあるのか」という羨望と憬れに似た気持ちが沸いてきました。
もともと、建築の意匠に興味があり、安藤忠雄氏に代表されるコンクリート打ちっぱなしの洗練された造りへの憧憬とSFCのそれとの重なりもあったかと思いますが、私はその日を境に高校進学に対する目が開かれたのでした。
「校舎と雰囲気がカッコいい」との理由から、帰路、父親に「こんな高校に入学したい」と言ったのを覚えています。
慶應義塾湘南藤沢高等部は時間的に通学圏外だったため、暫くして、父親から本学を紹介されました。
塾に通ったこともなく、飛び抜けてテストの点数が良かった訳でもありませんでしたが、一芸入試制度(α選抜)があるとのことから検討を始め、幸いにも受験資格を満たしていることがわかりました。
一芸に秀でていることと、学校生活での評点が一定以上であることが条件に含まれていたかと思いますが、私の場合は生来的に絵を描くことが好きでしたので、中学時代に獲得した芸術領域のコンクール入賞実績がエビデンスと成り得ました。
ハード(環境)面は、湘南藤沢キャンパスと本庄キャンパスを比較すると、前者が都会的であるのに対して、後者は大久保山の野性味が溢れていました。(今では大学の研究棟などの新築・改築が進み雰囲気が変わってきています)
ソフト(人間)面は、前者と交流する機会がありませんでしたので、分かりませんが大学のカラーを色濃く反映しているのではないかと思います。(今では学校間の交流があると聞いています)
しかしながら、共通点も多いのではないかと思います。豊かな自然環境に囲まれて、先進的な設備が整い、教育制度も一貫校の利点を活かした設計となっているのではないでしょうか。
ともあれ、私は本学を志望することにしたのでした。折りしも同級生が受験勉強の追い込み時期に入っている最中でした。
担任の先生からは「本学にあなたは合格しないと思うから、他校の一般試験の準備を頑張りなさい」との助言を頂いておりましたし、また、α選抜は対策・準備など特にすることがありませんでしたので、一般入試の勉強を続ける日々が続いていました。
試験は、書類と面接の二段階。(今と制度が変わっていないと思いますが、詳しくは本学のホームページをご覧頂きたいと思います。)試験で特に大事だと思ったのは、日頃の活動です。短期間で対策を立てて合格できる類の試験ではないと思いました。
・学校生活における評点
・コンクール等での活動実績(スポーツなど)
前者は定量的、後者は客観的な指標ですが、日頃の積み重ねがないとそれなりの結果にはならない部分です。
続けることは簡単ではありません。得意なこと/好きなことでも向上するためには大変だったりします。
しかし、もし十代前半で何か得意なこと・好きなことがあるようでしたら、それを頑張ることを個人的には勧めたいと思います。
入試を目標に据えて十代前半の貴重な時間を費やすよりも、自ら得意なことを頑張り、頑張った結果に応じて最適な入試制度を選択する、そんな進路を適える制度の一つが本学のα選抜であると思います。
「同窓生リレーエッセイ」カテゴリの記事
- 【83】稲稜祭での自主映画上映を終えて(2016.11.30)
- 【8】学院の変化@17期(2009.06.03)
- 【7】応援王国の中の早大本庄応援部(2009.05.27)
- 【6】稲稜祭の想い出(2009.05.13)
- 【5】本庄食(2009.04.29)
■コメント